調査診断業務

調査・診断の手順

◎設計図書等備付書類の調査(前回修繕時期、仕様、材料等の確認)。
◎居住者アンケート調査等により、外壁や屋上等の漏水の有無等を確認する。
◎耐震調査については、設計図書、構造計算書の有無、管理状況、現地調査、建物の修繕履歴、被災の有無などを確認の上、耐震診断の適用の可否、診断レベルを検討します。

◎調査部位:屋上防水・躯体・外壁仕上材(タイル、モルタルなど)・シーリング・塗装・外構など
◎調査方法:目視調査・指蝕調査・手の届く範囲の打検調査・赤外線サーモグラフィー調査
◎調査内容
 ①屋上防水

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 指蝕調査:硬さやもろさを確認する
  • 赤外線サーモグラフィー調査:表面の温度差から、浮き、漏水の有無等を確認する

 ②躯体(コンクリート)

  • 目視調査:ひび割れ、欠損、はがれ、剥落、鉄筋露出の有無などを確認する
  • 打検調査:テストハンマーで浮きの有無を確認する 

 ③外壁仕上材(タイル、モルタル)

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 打検調査:タイルや塗装下地のモルタルの浮きの有無を確認する
  • 赤外線サーモグラフィー調査:表面の温度差から、浮きの有無等を確認

 ④シーリング

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 指蝕調査:弾力や硬さにより、劣化状況を確認する

 ⑤鉄部、非鉄部塗装

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 蝕診調査:チョーキング、汚れの付着や固着強度などを確認する

 ⑥鋼製建具・金物

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 開閉調査:実際にドアやサッシを開閉して、不具合の有無を確認する

 ⑦バルコニー立ち入り調査(住戸サンプリング)

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 指蝕調査:塗膜防水の厚みや弾力、トップコートのチョーキングの有無などを確認する
  • 打検調査:タイルや塗装下地のモルタルの浮きの有無を確認する

 ⑧外構・附属施設 

  • 目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する

 

◎調査項目:給水管、排水管、ポンプ、受水槽、電灯・コンセント設備等
◎調査方法:目視調査・サンプル調査・各調査機器による観察、測定等
◎調査内容
 ①給水管

  • 外観目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 保温材の湿り、弁類・配管継手部からの漏水などを確認する

 ②排水管

  • 外観目視調査:配管の破断、勾配不良、漏水の有無などを確認する。
  • 排水枡廻りで埋設排水管の勾配不良、排水障害の有無など確認する

 ③ポンプ

  • 外観目視調査:外面の腐食、漏水痕、異常音の有無などを確認する

 ④受水槽

  • 外観目視調査:劣化の状況(位置、範囲、程度等)を確認する
  • 水槽本体の損傷の有無などを確認する

 ⑤電灯・コンセント設備

  • 目視、作動確認調査:照明器具の損傷・点灯不良、配線・配管の損傷の有無などを確認する

 

耐震診断に用いるデーターを収集するために調査を実施します。
調査内容として、設計図書と現状建物の整合性の確認、構造ひび割れの有無、変形、変質、地盤沈下、老朽化状況等。
また、コンクリート強度試験、中性化試験等を実施します。

◎調査内容 
 ①屋上防水

  • サンプリング調査:防水層の一部を切り取り、引張試験・折曲試験などを行う
  • 針入度試験・軟化点試験:アスファルトの劣化を調査する

 ②躯体(コンクリート)

  • 非破懐調査:躯体の強度を調べる反発度試験、鉄筋の配筋状況を調べる電磁波レーダー試験などを行う
  • 徴破懐調査:φ20~50mm程度の小径コアを採取し、コンクリート中性化試験、鉄筋のかぶり厚さ、仕上材の厚みや状況を確認する
  • 局部破懐調査:標準コア採取試験(コンクルート強度の試験、成分、調合の分析)

 ③外壁仕上材(タイル、モルタル)

  • 塗膜付着強度試験:塗膜の付着強度を調査する
  • タイル付着強度試験:タイルの付着強度を調査する

 ④シーリング

  • サンプリング試験:ダンベル引張試験を行う

 ⑤鉄部、非鉄部塗装

  • 塗膜付着力試験:テープによるクロスカット試験により、付着力低下度を確認する

 ⑥鋼製建具・金物

  • 詳細調査:サッシなどを外して部品の品番や各部の寸法を確認する

 ⑦バルコニー立ち入り調査(住戸サンプリング)

  • 残存膜厚調査:塗膜防水の残存膜厚を確認する

◎調査内容 
 ①給水管

  • 水圧測定:1栓全開、2栓全開で住戸内水栓器具側にて末端水圧を測定し、流速・流量状況を確認する
  • 水質調査:住戸内水栓器具側より、水道水を採取し、PH・残留塩素・赤水の吐出の水質の状況を確認する
  • 内視鏡調査:給水栓を取り外し、ファイバースコープを管内に挿入し、さびこぶの発生程度、閉塞量などを観察する
  • サンプル配管調査:腐食、減肉の状況を観察する

 ②排水管

  • 内視鏡調査:小口径配管の腐食状況、付着堆積状況を確認する
  • サンプル配管調査:腐食減肉量を測定し、残存耐用年数を推定する

 ③ポンプ

  • 絶縁抵抗値測定:電動機の絶縁値を測定し、漏電の有無を確認する

 ④受水槽

  • 内面目視調査:水槽内の汚損、付属機器の状況などを確認する
  • 動作確認:ボールタップの作動などを確認する

 ⑤電灯・コンセント設備

  • 絶縁抵抗値測定:配線、スイッチ類の絶縁抵抗値を測定し、漏電の有無を確認する
  • 安定器電圧測定:蛍光灯内部の安定器の劣化状況を確認する
  • 状況確認:プルボックス内部の結線部分の状況を確認する。

耐震診断は計算のレベルの異なる第1次診断法、第2次診断法および第3次診断法があります。それぞれの診断法の適用にあたっては、診断の目的、構造特性等に応じて、適切な診断法を選定します。
 
第1次診断法:

  • 比較的耐震壁が多く配された建築物の耐震性能を簡略的に評価することを目的とした診断法です。柱・壁の断面積から構造指標を評価します。

第2次診断法:

  • 梁よりも、柱・壁などの鉛直部材の破壊が先行する建築物の耐震性能を簡略的に評価することを目的とした診断法です。対象建物の柱・壁の断面積に加え、鉄筋の影響も考慮し、構造耐震指標を評価するものです。第1次診断法よりも計算精度の改善を図っており、一般的な建物の構造特性に適した、最も適用性の高い診断法です。

第3次診断法:

  • 柱・壁よりも、梁の破壊や壁の回転による建物の崩壊想定される建築物の耐震性能を簡略的に評価することを目的とした診断法です。柱・壁(断面積・鉄筋)に加えて、梁の影響を考慮し、構造耐震指標を評価します。

◎劣化調査診断報告書の内容
 ①建物概要(規模・構造・現在の仕様・修繕履歴など)
 ②総合所見
 ③調査項目別修繕時期の提案
 ④問題箇所の原因と対応策
 ⑤調査項目別調査結果
 ⑥各種試験調査結果
 ⑦アンケート結果集計表
 ⑧劣化調査写真集